被用者保険適用拡大について考える
まもなくスタートする被用者保険の適用拡大については、長い年月をかけ、将来の社会保障制度全体を俯瞰し計画されていますので、今後とも粛々と進められることと思います。
我々社会保険労務士はこれを円滑に進めるために、対象となる中小企業事業主の方、あるいはその従業員の方の立場に立って、制度改正の内容と必要性を懇切丁寧に説明し、経営全般を見据えながら、技術的、実務的支援をしていくことが望まれると思います。
それには、それぞれに不都合なことを共に考え、事業主の方には中小企業生産性革命推進事業の補助金や雇用分野でのキャリアアップ助成金等の活用を、従業員の方には被用者保険加入による将来的なメリット等を、できるだけ数字を使って現実的でインパクトのある説明をすることが大切であると思います。
令和4年10月および令和6年10月の移行を十分な説明と理解のもと進めること、それに対する地ならしが社会保険労務士の使命といえるのではないでしょうか。
ただし、二つほど前提があります。一つには、社会保険制度は社会保障制度の中核をなすものであり、年金、医療、介護など制度があります。そして少子高齢化の進むなか、これらの保険制度を持続可能な制度とするために多くの財源を必要とし、その財源は保険料が中心であるとされています。
社会保障制度全体については、とても私の知見が及ぶところではありませんが、「社会保険の適用拡大を粛々と進める」ためには、社会保障制度全体が、十分な検討のもと、適切に、バランスよく、個々の制度での給付と負担の内容が決められていることが前提であると考えます。
二つ目の前提は、社会保険適用拡大の対象となる業種では、卸売業・小売業と宿泊業・飲食サービス業で全業種の半分を占めようとしていますが、新型コロナウィルスの感染が完全には収束しておらず、特に観光業や飲食業がこれまで大きな打撃を受けてきた中で、さらに現在は世界的な原材料価格の上昇、ロシアによるウクライナ侵攻、急速な円安などの要因が絡み合い物価の高騰が大きな問題となっています。疲弊する中小の事業者が、目前の社会保険適用拡大の波を乗り越えることができるのかといった思いは当然にあります。
ロードマップに従って「社会保険適用拡大を粛々と進める」ためには、適用拡大の対象事業者が置かれた現在の環境に十分配慮した救済措置が、別に必要であると考えています。
令和4年9月
*当社は被用者保険適用拡大事業の専門家として、日本年金機構に登録されております。
フリーランス保護法について考える
その1
働き方の多様化が進み、フリーランスという働き方が社会に普及してきました。最近の調査では462万人にのぼるそうです。
一方、フリーランスとして働く人は労働法によるセーフティネットから外れ、十分な保護が得られないまま取引上のトラブルをかかえているという調査があります。また発注事業者からのパワハラやセクハラといった相談も多く寄せられているそうです。
この法令による違反事案は弁護士会によるフリーランス・トラブル110番が窓口になり、取引の適正化は公正取引委員会が、就業環境の整備は厚生労働省が中心となって是正していくことになります。
現在は2024年11月1日の施行(予定)にむけ、細部の要領を詰めながら広く周知している段階にあります。
その2
指針等の公布に伴い、本年11月1日からの法の適用が公表されました。また、検討中だった継続的な業務委託の「一定の期間」も公表されました。
報酬の減額や買いたたきなどの7つの禁止行為は1か月以上、育児介護等と業務の両立配慮および中途解除等の事前予告・理由開示義務は6カ月以上の業務委託になりました。
継続的な委託契約はフリーランスの経済的依存度が高まるからです。
健康経営について考える
その1
高齢化が進む中、ここ和歌山県においては65歳以上人口比率が33.3%(全国第11位)、75歳以上人口比率が18.4%(全国第5位)と全国でも高齢人口比率 の高い県となっています。 【出所:和歌山県公表資料 令和5年1月1日現在 】
高年齢者は運動機能を初めとして、感覚機能、精神機能など若いころより低下しています。人手不足の中小企業では高年齢従業員の持つ経験、知識や高い技能を十分に活かすことが重要です。
健康経営エキスパートアドバイザーは従業員の健康に対する御社の取り組みを診断し、現実的な対応を助言することで、生産性を向上させ活力ある企業運営実現のお手伝いをします。
その2
ミレニアル世代(1980年~1995年生まれ)やZ世代(1996年~2015年生まれ)といったその成長がデジタルの台頭とともにある世代が、日本の総人口の4割弱となっています。
これら世代が今後の我が国の労働力をけん引していきますが、この世代は①ワークライフワークライフ・バランスの重視 ( 出世よりもプライベートの充実)
②価値観・意識の多様化(雇用形態、性別、働き方、副業・兼業、フリーランス志向)といった特徴があります。
今後優秀な人材を採用し、職場定着率を高めていくには、これら世代の価値観に沿った「従業員の健康への配慮」が大きな決め手になります。